3つのポイントを押さえれば、強い信号を得ることが必ずできます。
1) 良い抗体を使う
2) 抗原の賦活化
3) グリオキサール固定
1) 良い抗体
北海道大学名誉教授の渡辺雅彦先生が作成されたポリクローナル抗体(https://nittobo-nmd.co.jp/product/antibody/immunohistochemistry/)は、極めて強い信号が出ます。さらにここから売られている殆どの抗体は、ノックアウトマウス脳を用いてvalidateされています。
ここにない抗原を検出したいときに頼る会社・ライブラリーは、
DSHB(https://dshb.biology.uiowa.edu)
Neuromab(https://neuromab.ucdavis.edu)
この2つになります。いくつかのNeuromab抗体は、DSHBから購入することができます。
DSHBには掘り出し物がいくつかあります。掘り出し物に出会えれば、安価に安定してモノクローナル抗体を入手しつづけることができます。ただし、モノクローナル抗体は、一般的に、信号強度の点で渡辺ポリクローナル抗体に遠く及びません。
2) 抗原の賦活化
当研究室では、麻酔後、10 mLの4% PFAで潅流。その後overnightのfixationを基本としています。この固定の強さに対して、ISHではproteinase
Kの濃度と時間が決まりますし、IHCでは抗原賦活化の方法が決まります。10 mM pH 6.0のクエン酸バッファーで98度40分を当研究室の抗原賦活化の基本としています。電子レンジ、オートクレーブなど色々ありますが、うちはすべてこの基本です。抗原賦活化についての歴史と実際を詳しく記載した名著がありますので、特に慶應関係者は図書館で借りてその部分だけ読んで欲しいです。
余談になりますが、私が大学院の3年を藤田医科大学で過ごしました。その時に、抗原の賦活化を教わったのが、病理の堤先生で、私はこの本を隅々まで読みました。2026年現在もその情報は色あせません。渡辺慶一先生、長村義之先生、堤寛先生はいずれも慶應病理学の大先輩です。
渡辺・中根 酵素抗体法 (改訂4版)名倉 宏/長村 義之/堤 寛 編集
3) グリオキサール固定
グリオキサール固定も渡辺雅彦先生に教わりました。このコラムを読んでください。
https://nittobo-nmd.co.jp/product/antibody/column/04.html
当研究室では、以下の組成のグリオキサール固定液を用いています(3% w/v グリオキサール, 20% w/v エタノール, 0.75% w/v
酢酸, pH 5に調整)。グリオキサール固定によって、ほとんど信号が得られなかった抗体が、劇的に良く染まるようになった経験を何回もしています。「この抗体、染まらねえや」といって廃棄する前に、一度グリオキサール固定を試すことを勧めます。
この成功の3条件を前提として、当研究室において新規抗体を手にしたときは以下をルーチンで行い、抗体の善し悪しを判定しています。
A. PFA固定、凍結貼り付け、賦活化無し
B. PFA固定、凍結貼り付け、クエン酸バッファーで賦活化
C. グリオキサール固定、凍結貼り付け