構造MRI

機能は構造に宿る。これはナノメートルレベルから、センチメートルレベルまでの生体構造物に広く保存されたルールです。脳の機能が脳の構造に宿ることを認めるなら、脳の機能を研究するのに、脳の構造MRIで脳の構造(この場合はvolume)を記述することは、研究の入口として推奨される。こんな考えに基づいて、マウス脳構造MRIをルーチンで行っています。そして、関心脳領域を絞り込んでいます。2026年現在での、マウス脳volumetric analysisのお作法を列挙しておきます。興味のある方は参考にして下さい。

・in vivoかex vivoか
マウスを生きたまま、麻酔下で構造MRIを取得することの最大のメリットは、経時的に構造変化を追いかけることができる点。1匹の撮影にかかる時間が長い、体動で画像の質が下がる、撮影期間中にマウスを維持するスペースが課題。
マウスを潅流し、その固定脳を用いることのメリットは、in vivoでの課題が解消される点。しかし、潅流にばらつきがあると、それだけで画像がばらつくという欠点がある。当研究室では、阿部さんが一人ですべてのマウス潅流を担当するので、他の追随を許さないレベルでばらつきが小さい。我々にとっては良いことだが、この属人性が横展開には課題。

・VBMかDBMか
T2値が交絡因子となるvoxel based morphometryが、特にマウス脳の解析では嫌われる。今後、VBM解析を選んだだけで論文がrejectされるだろう。その対案は、deformation based morphometry。単にvolumetric analysisと記述されることが多い。マウスにおけるFreeSurferは2026年1月現在では存在せず、マウス皮質厚を全脳で統計学的に検定することができていない状況にある。

・どんなtemplateを使うか
これまでAllen templateを参照にして、そことの比較で各群の特徴を検定していたが、template freeで解析することを要求されるようになっている。つまり集めたサンプルの平均でtemplateを作成し、そこからの差を見ることが求められている。